
台湾の食文化の中で、地元の人々に長年愛されてきた「薬膳スープ」。その代表格ともいえるのが 四神湯です。見た目は少し地味かもしれませんが、一度口にすると心も体もほっとする、台湾ならではの滋味深いスープです。
四神湯とは?
四神湯は台湾生まれの薬膳料理で、もともとは漢方薬として処方されていたレシピが民間に広まり、日常的に親しまれるようになったものです。 主に入っているのは、次の4種類の漢方食材です。
· 薏苡仁(ハトムギ):新陳代謝を促し、美肌や免疫力アップに効果的。
· 芡実(オニバスの実):滋養強壮や体力回復に役立つ。
· 淮山(山薬):胃腸を整え、アンチエイジング効果も期待される。
· 蓮子(ハスの実):内臓のバランスを整え、心を落ち着ける。
これらに加えて、豚モツや骨付き肉を合わせて煮込むことで、滋養と旨味がたっぷり詰まったスープになります。疲労回復、消化不良の改善、夏場のむくみ解消にもぴったりと言われています。
屋台から家庭まで ― 四神湯のある風景
台湾の夜市や食堂を歩けば、四神湯の看板を見かけることは少なくありません。屋台で気軽に楽しめる一方で、家庭でも大同電鍋を使ってコトコト煮込む習慣があります。
お店によって配合する漢方や調味料が異なるため、同じ四神湯でも味わいはさまざま。スッキリとした塩味ベースから、豚モツの旨味が濃厚なタイプまで、食べ比べるのも台湾旅行の楽しみのひとつです。
台北のおすすめ店「老翁家四神湯」
台北で特に人気なのが、松山・民生社区にある 老翁家四神湯。地元の人々に愛され続ける屋台風のお店で、価格もお手頃。綜合四神湯(豚モツ+排骨入り)が
特におすすめです。
このお店のもうひとつの名物が「刈包(グアバオ)」。ふかふかの饅頭に豚肉、酸菜、ピーナッツ粉、パクチーを挟んだ台湾式バーガーで、四神湯との相性が抜群。台湾らしいローカル体験をしたい方にぜひ訪れてほしい一軒です。
他にもある台湾の薬膳スープ
四神湯のほかにも、台湾では季節や体調に合わせて薬膳スープを楽しむ習慣があります。代表的なものを紹介すると
· 麻油鶏(マーヨウジー):ごま油と生姜で鶏肉を煮込んだスープ。体を温め、産後の女性にもよく飲まれます。
· 燒酒鶏(シャオジウジー):鶏肉を台湾米酒と漢方食材で煮込んだスープ。米酒の香りと滋養効果が特徴。
どれも体をいたわりながら美味しくいただける、台湾ならではの家庭の味です。
日本で楽しむ方法
台湾で食べるのが一番ですが、日本でも四神湯を味わう方法はあります。
· 台湾料理店のメニューに「四神湯」があることもある。東京だと「台南担仔麺」というお店で味わうことができます。
· 中華系スーパーやネット通販で「薬膳スープの素」が買える。
· 台北の迪化街や高雄の三鳳中街などで買った薬膳素材をお土産にして、自宅で作ることも可能。
まとめ

四神湯は、台湾の人々の生活に根付いた「食べる薬」。見た目は素朴でも、体にやさしく奥深い味わいが魅力です。台湾旅行の際にはぜひ試していただきたい一品ですし、日本でも出会えたらラッキー。台湾を思い出す味としてきっと心に残るはずです。

