
“東洋のベニス”で出会うグルメと夕日 台湾北部・新北市にある港町「淡水(たんすい)」は、“東洋のベニス”と呼ばれるほど美しい夕景で知られています。
台北駅からMRT淡水信義線(レッドライン)に乗って約40分、終点「淡水駅」に到着すると、
潮風とともにゆったりとした空気が迎えてくれます。
歴史ある街並みと新しい観光スポットが混在する淡水は、台北から日帰りでも十分楽しめる人気エリアです。
淡水老街で食べ歩きを楽しむ

駅を出てすぐの「淡水老街」は、地元の人や観光客で常ににぎわうメインストリート。
レトロな商店や屋台が並び、台湾らしい香りと音があふれています。
ここでは、淡水を代表するローカルグルメを味わえます。
海老巻き(蝦捲/シャージュエン)
まず試してほしいのは「蝦捲(シャージュエン)」。
エビのすり身を薄い皮で包んでカラッと揚げた淡水の定番スナックです。
外はサクサク、中はぷりぷりの食感がたまりません。
ソースを自分好みに選べるのも台湾らしさ。
阿給(アーゲイ) 淡水を象徴する名物といえば、やはり「阿給(アーゲイ)」。
油揚げの中に春雨を詰め、魚のすり身で封をして蒸した料理で、甘辛いソースをかけて食べます。
その名前は、日本語の“あぶらあげ”の発音が由来と伝えられています。
発明者は1960年代の淡水在住女性・楊鄭錦文氏で、淡水の食文化に日本統治時代の名残が感じられます。
発祥とされる老舗「淡水老牌阿給」は早朝6時半ごろから営業しており、朝ごはんとして地元の人に親しまれています。
素朴ながらも深い味わいで、淡水を訪れるなら一度は試してほしい一品です。
胡椒餅(フージャオビン)
外は香ばしくパリッと、中はスパイスの効いた豚肉餡がぎっしり詰まった胡椒餅。
淡水では「炭錢胡椒餅」が有名で、焼き上がりの時間には行列ができます。
特に五花肉(豚バラ肉)入りはジューシーで、
かぶりつくと熱々の肉汁が溢れ出す“危険なおいしさ”。
食べ歩きの合間にぴったりです。
スイーツ&ドリンクでひと休み
食べ歩きの途中では、淡水らしいスイーツやドリンクもおすすめ。
湧蓮古早味蛋糕
ふんわり軽い台湾カステラ。ほんのりした甘さで人気。 大きめサイズなので、シェアして食べるのがちょうどいいです。
淡水滬尾豆花店
地元でも評判の豆花(トウファ)専門店。
豆の香りが豊かで、カラフルなトッピングが見た目にも楽しい。
李圓圓(Bubble Lee)
黒糖タピオカミルクが人気のチェーン。
香ばしい黒糖の風味とミルクのまろやかさが絶妙です。
阿媽的酸梅湯(梅ジュース)
淡水ドリンクの定番。
梅の酸味とほのかな塩気が合わさった独特の味わいで、
暑い日にもすっきりと飲めます。
歴史を歩く ― 紅毛城と淡江大学
老街を抜けて坂をのぼると、西洋風の赤レンガ建築「紅毛城(フォート・サン・ドミンゴ)」が現れます。17世紀にオランダ人によって築かれ、のちにイギリス領事館として使われた歴史的建物です。
周囲には真理大学や淡江大学などの洋風建築が並び、異国情緒あふれる雰囲気が楽しめます。
淡水は、台湾が多くの国と関わりを持ってきた歴史の舞台でもあり、
歩くだけでその多文化の息づかいを感じられるエリアです。
夕暮れの情人橋と漁人碼頭
淡水といえば、やはり夕日。老街からは少し距離がありますが、バス・ライトレール・フェリーを使えばアクセスは港町「漁人碼頭(ユーレンマートウ)」に到着すると、白いアーチ型の「情人橋(チンレンチャオ)」が夕陽を受けて輝きます。
日没後にはライトアップされ、ロマンチックな雰囲気に包まれます。“台湾で最も美しい夕日スポットのひとつ”と称されるのも納得の絶景です。
新しい淡水 ― 淡海ライトレール
近年注目されているのが、新しい交通手段「淡海ライトレール(LRT)」。
淡水の中心街と新興住宅地を結ぶ路線で、駅構内には人気絵本作家・**幾米(ジミー・リャオ)**のアート作品が展示されています。沿線には桜の名所「無極天元宮」や、SNS映えする「Binma Area 134」など、
フォトスポットが多く点在。古き港町とモダンな景観が共存するのも、今の淡水の魅力です。
古い街並みと海風、屋台のにぎわい、そして夕日に染まる港町。淡水には、台湾の“懐かしさ”と“新しさ”が同時に息づいています。台北からわずか40分、少し足をのばすだけで出会える特別な時間。グルメを味わい、夕日を眺め、歴史にふれる——そんな一日旅に、淡水はぴったりの場所です。
まとめ

淡水は、台北中心部からわずか40分で行けるとは思えないほど、穏やかで時間がゆっくり流れる場所。老街でローカルフードを味わい、歴史ある紅毛城を歩き、夕暮れの情人橋で一日を締めくくる
そんな淡水の過ごし方こそが、台湾らしい旅の原点です。

