メジロマックイーンと芦毛の菊花賞馬と天皇賞。

爆サイコラム

いつまで工事するんやろか、、。

新宿西口会館の休憩室の窓から見える地下鉄の工事の様なあかりの先に、でかく聳え立つ都庁の明かりと、2000年に向けカウントダウンの日々減っていく数字を照らすネオンは、、

ああ、、、そうか、、東京やったな、、と、、


ふと僕を現実に気づかせてくれては、、バイトに明け暮れ始めた孤独な時間を癒してくれていた、、。

クシャクシャになった、折れかけたマイルドセブンを咥えて、、、
いつも探すとなぜかポケットにないライターを探しては、お釣りの80円が出てくる、。

ニコチン全開の部屋に休憩時間がたいがい一緒になる、古川という名札のオッサンが、キャスターマイルドとオイルの少なくなったライターをキザに渡してくれた、、。


”明日は、、達樹くん、ウインズ行くの?、、菊花賞、”、、と


ため息に近い煙と共に話す古川のオッサンは、福島から来た寡黙ないわゆるフリーターで唯一競馬の事を話題に話す同じ新人のバイト仲間、、。

”あ、、はい、明日は、、僕はホワイトストーンが好きなんで、セントライト勝ったし、いいかなと、、”


”あー、、、、、柴田ね、、”


”まあ、、、、でも明日は、多分マックイーンだよ、、。”


”え?、、、”


ほぼ10代と20代の学生の中なぜ、店長より年上の彼が採用されたか謎のままだったが、、いつもバイトであうと、競馬の話をする、、たまに帰りに西武新宿駅まで歩きながらまでも色々と教えてくれた、、まあオッサンと言っても30半ばだったと思うが、とにかくよく単勝を当てる、、。


”え?、、、でも、、この馬前の嵐山の3000m、負けてましたよね、、”と切り返した、、


”内田、詰まってたからね、、、、”

”たっちゃん、、、このマックイーンの兄貴がさ、同じ感じで函館から京都の嵐山S使ってから、菊花賞勝ってるんよ、”


”へーーー、、、” (北海道からの京都か、、、)


”で、マックイーンの親父も、お爺ちゃんも京都の天皇賞を勝ってる長距離の血統だからね”


”ほう、、なるほどなるほど、、、”

(ダビスタで言う、アンバーシャダイとか、、これ長くなるのか、、、)


”ま、、先週オグリでやられたからね、、俺はバイト代ほぼ全額単勝にいくよ!”


”えーー!”


”いや、それは、、、え、まじですか、、” 


古川のオッサンは、キャスターマイルドに火をつけて僕を見ては、、
不敵にも笑っていた、、、。


僕の慣れない標準語はいいとして、競馬でそこまでの勝負をすることを生きがいな古川の親父が、、僕にはガラガラのパチンコ屋なのに一人開店待ちするオッサンの如く見えていた、、。


anyway….


僕の菊花賞のホワイトストーンの単勝は外れたが、、一人暮らしの10代においては複勝での勝利と流石の10000円のマックイーンとのノリでの古川枠連の配当は大きかった、、。

思わず、ダイヤルQ2に電話してみようかと思ったくらいだった、、。


ちょうどその頃、僕の知る限りの芦毛は走らないと聞いていた競馬の先入観がオグリとこのマックイーン、タマモクロスなど共に転換期を迎えた時期だったと思う、、。

メジロマックイーン GI級競走を4勝するなど重賞を9勝、日本競馬で史上初めて獲得総賞金10億円に到達

バイトも慣れ始めその後、なぜか古川の親父とシフトなのか、かなりの金額が当たったのか、、、休憩室でもなかなかたまに見かけるくらいになり、、

流石のメジロマックイーンは武豊に乗り替わりもやはり、淀の天皇賞を余裕で勝った、、。

古川のオッサンに御礼もしたかったが、、僕も曙橋のフジテレビの大道具の深夜のバイトが多くなってきたこともあり、、、

馬連が始まった天皇賞秋の前に、久々にニコチン全開の休憩室に漂う煙の奥に不敵な笑顔を見つけた、、。



”うあー、お久しぶりですね、、、、辞めたのかと思いましたよ、、”


(いや、オッサンおったんかいな、、)



”おう、、、たっちゃん、、、元気?”  



ん、、?

(なんだ、余裕かますこの不敵なギレンザビ並みの雰囲気は、、、、)



”最近どうですか、、”と、、聞くも、、、


”あ、競馬?、、、”     (しかないやろ、、)


”今週、天皇賞だしね、、、”  


”また、今回も府中いくんでしょー、、僕はさすがに2000mなんでね、、、カリブソングの複勝と、、プレクラスニーとホワイトストーンとの馬連とかで行きますよ、、、”



”フフフッ”   (ん?、、、赤い彗星か、、)


“ま、武で鉄板よ、、、”

”あとは、、カミノクレッセとの馬連でドーーーン、、とかな、、”




ん、、、? 

メジロマックイーンのことを堅いを超え、、、、 鉄板、?そか、、、


”え?、、、、ちょっと待って、、”

”カミノクレッセ?”


(ダートで勝ってきたこの馬??が、、、いきなり天皇賞に、、いや、、、、、)


キャスターマイルドを消しながら、、、またすぐ会うのにタイムカードのドア越しに、キザに決めたつもりの古川の親父の最後に見た不敵な笑顔だった、、。



その後おかんの体調も良くないこともあり、、1年のバイト漬けの生活を終えた僕は関西に戻りその後留学中の準備もあり、一度1年だけ就職し働いていた矢先、、、サンテレビの画面に映るメジロマックイーンを見た、、。

まさかの鉄板だったあの天皇賞を降着になり、、最下位。ダメ押しとばかりにダイユウサクに差し切られて以来の、阪神大賞典のつよいマックイーンを見て、、、ふと、、、

もうすぐ日本を離れる前に、天皇賞で最後に勝負しようと決めた、、、。

留学資金は支払い済、CITIBANKにドルで入れてしまって手持ちは5万ほど、、

流石の若気の至りか、、今の時代はダメだが、、、
◯富士や◯コムなど、、その日中に借りて1日で返せばほぼ利息はいらないよと、、古川の親父直伝の必殺技で、、用意したガルマザビは、、、

いざ窓口に行き、震える手で、、メジロマックイーンの単勝に全額万張り、、。
ヒヤヒヤの冷や汗MAXの後にも先にも怖いもんしらずの若人の勝負、、。


マックイーン単勝は、、、1.7倍だった、、。
トウカイテイオーだけにはきてほしくない、、、。


よし、、、とりあえずいいスタート、、。


そう、、、いいよ、、、


いい感じ、、いい感じ


そうそう、はい、武です、、、


いけるよー、、、そう、、、


そのまま、、、そのまま、そう、、そうです!


よし、、、伸びる、、そうそうです!


よし、、、よし、、、


きたーーーーーーーーーー!



確定のランプでの冷や汗が引き、安堵の中、、、確定画面を見上げた、、

単勝は、1.7倍!

OK! やった、、。


ふと、、古川のオッサンも今頃同じことしてるかもなーーと、、
メジロマックイーンの勇姿を画面で見ていた、、、、、


ん?

2着の馬は、、、、、田島信行?


あ、、しまった、、、。


古川のオッサンが幻の外した天皇賞でねらっていたあの、、
カミノクレッセか、、、、、、、、、



うわ、、、馬連、、15倍もあるんか、、、と、、。


”フフフッ” さすがやな、、、と

アンバーシャダイね、、、、


一人で来てるのに、、、
不敵に笑っている自分がいた、、、。