久しぶりに書きます。爆サイとAIと、僕の最近の関心ごと。

爆サイコラム

もう一年以上たってしまいましたが、このコーナーで、「cafeイトキオ」という昔の掲示板の話を書きました。あれは、今から24年前。2000年の年末、まだスマホもSNSもなかった時代に、ガラケー向けの掲示板を立ち上げたんです。

当時は、誰もが本音を言えるような場所がまだネットにはほとんどなかった。
ニュースもテレビも、いわゆる「ちゃんとした言葉」ばかりで、街角や飲み屋で交わされているような、もっとくだけた雑談の居場所がなかった。

だからcafeイトキオは、言ってみれば“どうでもいい会話の吹き溜まり”みたいな場所でした。
それがすごく面白かったし、いつの間にか、気がつけばたくさんの人が集まっていた。

そんな昔話をブログに書いたところ、なんと爆サイの関係者の方から連絡がありました。「イトキオって、もしかして…」と。そこから話がつながり、少しだけ、爆サイの今と関わることになりました。

一応、アドバイザーという形にはなったんですが、正直に言うとこの1年、ほとんど何もしていません(笑)。ブログも書きっぱなしで放置したままだったし、「まあ何かあったら声かけてください」という距離感でした。

ただ最近になって、ちょっと面白い話を聞きました。
爆サイが持っている、何千万、何億という投稿の言葉たち──それをAIに学ばせたら、面白いことが起きるかもしれない。
そんな話題です。

僕自身、ここ数年でAIにすごく関心を持つようになりました。
ChatGPTの登場も大きかったけれど、それ以上に、「AIは人間の“ことば”をどう扱うのか」というテーマが気になって仕方がない。

AIって、すごく賢いようで、時々とても人間くさい答えを返す。
その“くささ”の正体って、もしかしたら、僕たちがネットのどこかで書き散らかしてきた感情だったり、勢いだったり、くだらない冗談なんじゃないかと。

そう考えたときに、爆サイの言葉たちは、まさに「人間のくさみ」が詰まっている場所だな、と思ったんです。

爆サイって、冷静に見れば、どこにでもある匿名掲示板です。
でも、全国を網羅した地域別の構造、恋愛・不倫・病院・政治・芸能…あらゆるカテゴリでのやりとり、そして何より、誰にも遠慮せずに書き込める“むき出しの口語”の集合体。

つまり、ここには「日常の声のログ」がある。
雑誌にも載らない、テレビでも取り上げられない、だけどどこかの誰かが一度は考えたことのある本音や愚痴が、山のように積もっている。

AIにとって、それはとても価値のあるデータなんです。
たとえばOpenAIはRedditと提携し、あちらのユーザー投稿を学習に使い始めています。
Redditは、もっと論理的だったり、英語圏の“オタク文化”寄りだけれど、爆サイはもっと人間の“地声”に近い。

おそらく、AIが日本語を本当に理解するためには、こういう「理屈じゃない言葉」に触れないといけないんだと思います。

もちろん、全てが美しいわけじゃない。
爆サイの中には誹謗中傷もあるし、言葉の暴力や悪意だって含まれている。
でも、それもまた、人間の感情の一部だと思うんです。

もしもAIが、人の気持ちを少しでもわかろうとするなら、爆サイの中にあるような、整理されていない、ぐちゃぐちゃな言葉に触れることも必要なんじゃないか。

僕は最近、AIは“代わりに考えてくれるもの”じゃなくて、“一緒に考えてくれる存在”になるんじゃないかと思っています。

だったら、そのAIが話す日本語、考えるクセ、反応の仕方──そこに僕たちの声が、少しでも混じっていたら面白いじゃないですか。

そしてもしかしたら、その声の出どころが、この爆サイだったら。
僕が昔作った小さな掲示板が、いまもどこかでつながっていて、AIの未来に影響していたら。

そんな妄想みたいな話を思いながら、久しぶりに文章を書いてみました。
相変わらず気まぐれな更新になると思いますが、またたまに書きますね。
最後まで読んでくれて、ありがとう。