好きな昭和の競馬人の言葉がある、、
”自分を買う。”
”つまり、競馬場へ、わざわざ一枚の紙になった自分を買い行くわけだ。だからみんな自分に似た馬を買ってくる。しかし軍配は大抵、歴史に任せる。”
かつて昭和の劇作家、寺山修司さんの対談(競馬論)でのエピソード。
ミスターシービーが三冠馬になる皐月賞を取る当日の予想でも、最後までミスターシービー必然的に勝つだろうと、弥生賞前から彼は予想を綴っていた、。
が、翌年のシンボリルドルフの三冠馬との対決を見ずに、
皐月賞の後、、彼はこの世を去った、、。
その後、三冠馬ミスターシービーが天皇賞・秋で勝利後、満を持して臨んだジャパンカップにて、、
華麗なる一族血統と、先行差し切りの合理性の全開でシービーを上書き保存した、精密機械の無敗の三冠馬シンボリルドルフとの対決。
シービーはかつて完膚なきまでに叩きのめしたカツラギエースにまでちぎられた、、、、、
シービーの科学に対する夢のような末脚は、、無惨にも歴史の必然と言わしめたシンボリルドルフに大惨敗する、、。
しかし、、その年の有馬記念の単勝1番人気は、シンボリルドルフ、、、
民衆が選んだ有馬記念のファン投票1位は、、、
やはり、、、究極の追い込み馬と言われたミスターシービーだった、、。

寺山さんの言葉を引用すると、競馬を単なる投資とするならば、単勝1番人気のルドルフを買うしかない。シャバの生業で一発逆転の場面などそうあるもんじゃない。
まだ、ダイユウサクもハーツクライもいない、、1984年の言葉だった、、。
anyway…..
一昨年の秋、、
天皇賞に、そのシービーの空想によく似た光景模様があった。
あの日の天皇賞も、、1000mを57秒4、、、でわかっているがカツラギエースばりにドバイのターフ優勝馬のパンサラッサが謎の7番人気、、、。
パンサが15馬身以上を離して逃走中の森脇健児並みに、逃げに逃げた。
結果、一馬身差の2着とはいえ、、
やはり、一番人気のイクイノックスが、、
高速ハイペースの中、それでも32秒7で上がってきてキッチリ差すのか、と、
夢を託した人達の、、、
あーーーーというため息が、府中全体に難波花月の如く確かに聞こえた、、。
however..
ポイントはこのイクイノックスでもパンサラッサでも、、
当然、森脇健児でも、ない、、。
伝統の出世レース、共同通信杯。
松山弘平の鞍上で後の皐月賞馬のジオグリフを1馬身半千切っての、2戦2勝。
皐月賞では、川田将雅騎手を鞍上に2番人気も、、
先行して末脚出さずの4着、、、(釣られて前に行くなよ、、)
日本ダービーでは−10kgもドウデュースを抑えて堂々の1番人気で、、、
末脚が出るも着火が遅れてか、、、の4着、、。
そう、日本ダービー馬、ドウデュースと同じハーツクライ産駒の、、、、
” ダノンベルーガ ”である、、。
パンサの15馬身後ろの天皇賞では、、イクイノックスのまだ後ろ、、、
ほぼ最後方から、、、、
32秒8で、、(イクイノックスのコンマ1差、、)
幼少期に右後脚の怪我の影響で軽い調教しかできない、、ベルーガが、、
1分57秒7というタイムで、、、
天皇賞・秋を3歳にして、、、ここで?
まさかの末脚爆発の一馬身差、、の、惜しい3着に来ていた事だった、、。
その強烈な末脚は、、ドバイシーマを制したクリスチャンデムーロ鞍上だった
シャフリヤール(5着)をも、普通に抜き去っていた、、。
その後、、モレイラ騎手でのドバイターフにて2着後、、、昨年の天皇賞・秋。
末脚繰り出すもまさかの高知ファイナルの多田羅もびっくりの日本レコードで追い込みの濱と井上の如く直線2頭に普通に差されの、1分55秒8のすごいタイムでも4着、、は4着、、。
まあ時代とはいえ、タイムは良くても相手が悪い、、、というか、、
先日話したカミノクレッセや、ナイスネイチャ、ホワイトストーン然り、、
牝馬ならイクノディスタス並みの末脚の稲妻レッグラリアートの一発逆転の木村健悟に、、、
人は、効いていなくても、やはり、、期待してしまう、、
今週の天皇賞・秋、、。
抜き去るベルーガを横目に見ていた、馬をも惚れさすクリスチャンが、、この去り行くタイミングで満を持して来たミシェルの如くのパリからの手紙なら、、
ベルーガ自身も海外除けば、右脚に負担のかかる右回りでなく、、、彼自身8回目の、左回り府中の直線はいわばホームグラウンド。
最後の最後に、、シービーの如くの豪脚で、、
そっと、、、差すかもしれない、、、。
