大麻に世界を救わせるな。

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植物の力は偉大だ。

大麻に限らない。食べ物も、衣服の繊維も、住まいの材料も、薬の手がかりも、植物から得てきた。空気のことまで考え始めると、人間はずいぶん植物のお世話になっている。

では、人間は植物に何をしているのか。

少し考えて、いったんやめた。絶望しそうだからである。

まあ、生きている意味は何かしらあるに違いない。

それはともかく、大麻にも面白い力がある。

たとえば、汚染された土地で大麻を育て、土壌中の重金属との関係を調べる研究がある。品種や土の条件によって、植物のどの部分にどれだけ取り込まれるかは違う。それでも、成長が早く、地上に多くの植物体を作る大麻が、環境修復の候補として研究されるのはわかる。

ここで「大麻が土をきれいにする!」と叫びたくなる。

だが、吸い上げた重金属が消えるわけではない。植物の中へ移ったなら、収穫した後にそれをどう扱うかが残る。どの部分に何が蓄積したかを調べずに、服や食品や建材に回せるとも言えない。

土を調べ、植物を調べ、収穫物の行き先まで考えて、ようやく修復の話になる。

大麻に仕事を任せるなら、後片付けまで人間の仕事だ。

さらに話が大きくなると、「大麻は放射能にも強い」「大麻の服で放射線を防げる」なんて話まで出てくる。

待て待て。

放射性物質を植物が取り込む話と、服が放射線を遮る話は別である。普通の大麻布を着たからといって、強いガンマ線から身を守れるわけではない。

それで原発の内部に入れるなら、必要なのは防護計画ではなく、大麻の服の大量注文になってしまう。

そんな注文で済むはずがない。

引っかかるのは、大麻の可能性を語ることではない。何か一つ研究が出るたびに、植物に世界の問題を丸ごと解決させようとすることだ。

汚れた土も大麻。医療も大麻。建築も大麻。エネルギーも大麻。

そこまで背負わせたら、植物というより無給の救世主である。

大麻はただ生えている。人間が勝手に雑草と呼び、危険薬物と呼び、ときには神と呼ぶ。そして今度は地球まで救えと言う。

さすがに忙しすぎるだろう。

大麻の力を認めたいなら、できることの条件も、できないことの限界も、きちんと見る。

万能扱いは、褒め言葉に見えて、実は植物をよく見ていない。

大麻を王座に座らせるより、まず畑と研究室やらで何が起きているのかを知りたい。大麻も万能ではない。

植物に王冠はいらない。

――TAIMA² KING